教材名
対象 |
・中学部3年の準ずる教育課程で学習する生徒 ・視知覚認知に困難があり,複雑な図形や空間の位置関係の把握が難しい生徒 ・上肢の操作性に困難があり,精緻な作業が難しい生徒 ・手と目の協応に課題がある生徒 |
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障害種別 | 肢体不自由教育 |
単元・活用場面 | 理科 |
ねらい |
・天体の日周運動や各方位の空における天体の動きを理解すること。 ・モデルと教科書等を比較することで,空間を表す複雑な図形を認識・理解できること。 |
障害特性に対する配慮点 |
・一般的なペン先の影を用いる方法は,視覚的困難や上肢操作性の困難からくる影の見にくさや観測者に影を合わせるといった精緻な操作が課題となるが,光を竹ひご,天球を発泡スチロール球とすることで,天球の天体の位置を直接的かつ容易に記録することができる。 ・環にひもを通すことで,視覚的困難や手と目の協応の課題からくる球面上の二点を結ぶことの難しさを避けながら天体の動く軌跡を確認し,またこれに透明半球をかぶせ軌跡をなぞることで,教科書にあるような天体の軌跡が記録された透明な天球を作成することができる。 ・具体的なモデルは様々な方向から天体の動きを観察できるため,空間的なイメージを持つことが難しくても,天体の動きの特徴を具体的に捉えることができる。 |
期待される効果及び成果 |
・天球上の天体の動きを具体的に捉え,その特徴について深く考察し,多くの気付きと理解を得ることができた。 ・教科書等の天球図を困難なく理解することができた。 |
使い方 |
1. 地球を覆う天球の理解 ① 地球のモデル(青い発泡スチロール小球)を提示する ② 地球,天球のモデル(白い発泡スチロール球)を半分ずつ竹ひごに取り付け,地球側に残りの天球をかぶせる ⇒ 地球が天球にすっぽり覆われているイメージを持たせる ③ 地球における自分たちがいる場所(天球の反対側)にピンを刺し,下側の天球は地球の裏側に当たるため見えないことを理解させる 2. 天体の動きの記録と考察 ⓪ 事前準備として,天体および天体の光のモデル(ガラス管に通した竹ひご)の高さを固定し,天球の動きの軌跡がきれいに現れる天球の置き位置を記録しておく(机に養生テープを貼り,その上に番号を振って示しておくと良い) ① 斜めに穴をあけた土台に天球のついた竹ひごを刺し,その中心に向けて天体の光を固定させる ② 天球を回転させながら,天体の光の先端が触れている部分に環付きピンを刺させる(地平面近くにピンを刺すときは,天の北極がある側の天球に刺すよう指導する。また,事前に天球の回転の向きを確認させ,その順番にピンを刺させると,後の透明半球を用いた考察で,天体の動きがより分かりやすくなる) ③ 一周刺し終えたら,環にひもを通し,天体の動きを確認させる(このとき,まず天の北極がある側の天球からひもが通るようにすること) ④ 天球の置き位置を変え,複数の天体の動きを記録させる ⑤ 天球のついた竹ひごの先端に北極星(白い発泡スチロール小球)を取り付け,その光が常に天の北極に当たることを確認させる ⑥ 天球上の天体は,北半球では北極星を中心に同心円状に動いていること,その軌跡は同じ傾きをしていること,地平面以下の見えない部分でも天体が日周運動していることを,モデルを通して考察させ,気付かせる 3. 日本から見える各方位の夜空 ① 2.で作成した天体の動きの軌跡について,天の南極がある側の天球のひもを解き,天の北極がある側の天球だけ取り出させる ② 天の北極がある側の天球を方位シートに固定し,その上にサイズのぴったりはまる透明半球をかぶらせる ③ マジックで天球上のひもをなぞらせ,透明半球に天球の動きの軌跡を写し取らせる(このとき,ピンを刺した順番が分かっていると,天体が動く方位も具体的に理解できる) ④ 透明半球を内側から覗き込み,それぞれの方位の空で天体がどのように動いているか記録させる |
関連する教材や情報 |
必要な物品は以下で購入した。 ・白発泡スチロール球(φ10cm,天球モデル):ダイソー ・発泡スチロール小球(地球・北極星モデル):ダイソー ・竹ひご:ダイソー ・土台:ダイソー ・環付きピン:ダイソー ・ひも:ダイソー ・透明半球(φ10~12cm):サイボックス |
こんな児童生徒にも役に立つ教材です | |
書籍ページ番号 |