教材名
対象 |
視覚障害を有する高等部本科保健理療科、専攻科保健理療科、専攻科理療科生徒 |
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障害種別 | 視覚障害教育 |
単元・活用場面 | 理療 |
ねらい |
・重要であるが、理解の難しい、肩関節周囲の筋の起始、停止、作用の知識を印象づける。 ・起始、停止、走行から筋の作用を推測するという応用的な思考力を育てる。 ・体験的な活動を通じて学習内容への興味・関心を高めるとともに、生徒同士の会話によりコミュニケーション能力の育成をはかる。 |
障害特性に対する配慮点 | 市販の模型は目で見ることを前提に作られているため、情報量が多すぎて、視覚障害者には分かりにくいものが多い。そこで、起始、停止以外のノイズとなる情報をすべて省略し、筋の作用の理解に特化した模型とした。弱視生徒の見え方に配慮して、黒地に白文字をベースに蛍光色の色紙を用いる等、コントラストの強い配色とした。点字使用の生徒に配慮して、触感の異なるシールを使用して触覚によって目的の部位を短時間で見つけられるようにした。起始部は、探索のしやすさ、理解度の確認のしやすさから番号のみとし、大きな文字及び点字の両方で示した。 |
期待される効果及び成果 |
教科書に書かれている各筋の作用が、どのような動きを指す用語であるかという基礎・基本となる事項を、上腕骨の実際の動きを通じて体験的に理解できる。 肩関節周囲にある上肢帯筋は、起始部、停止部が互いに近接しているが、作用は大きく異なり、理解が難しい。しかし、本教材を活用することで、なぜそのような作用の違いが生じるのかについて、各筋の草稿から生徒自身が主体的に考えることができる。 さらに、肩関節周囲の筋に限らず、「筋の走行が分かれば、作用を推測できる」という筋系全般に関わる広く応用可能な考え方を習得できる。 |
使い方 |
本教材は、肩甲骨と上腕骨に見立てたボール紙製の簡易模型を太い紐で緩やかに連結した教材である。上肢帯筋の起始部と停止部に相当する部位に小さな穴があり、その間に紐を通して引くと、各筋に対応した上腕骨の運動が再現できる。 片側を球結びにした紐を、まず停止部の穴に、次いで起始部の穴に通し、その端を筋の走行に沿って引くと作用が再現できることを説明しながら、生徒に穴への紐の通し方を指導する。 はじめにどのような動きが起こるかを発問により生徒に予想させた後、授業者が紐を引く操作を行う。生徒は保有視覚及び触覚を用いて停止部の動きを確認する。 次に生徒を2人組のペアにし、各ペアに1つずつ模型を手渡す。授業者が筋肉名を指定し、起始と停止を発問する。生徒の理解を確認した後、停止と起始に紐を通すよう促す。授業者は正しく紐が通されていることを確認した上で、作用を予想させてから、紐を引くよう指示する。生徒は上腕骨の動きから、筋の作用を確認する。 この手順を筋肉を変えて繰り返し、各筋の作用を再現させながら理解するとともに、「筋の走行が分かれば、作用を推測できる」という筋系全般に関わる広く応用可能な考え方を発見する。 生徒の実態によっては授業者が穴に紐を通す作業を行ってもよいが、紐を引く操作だけは生徒自身が行い、筋の走行と作用の関係を体験的に学習できるようにする。 |
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