教材名

肝臓内微細構造模型  自作
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  • 肝小葉1(六角柱のみ)

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    肝小葉2(六角柱とストロー)

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    肝小葉3(六角柱とストローとモール)

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    肝小葉4(ストローにモールを通す)

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対象 視覚障害を有する高等部本科保健理療科、専攻科保健理療科、専攻科理療科生徒
障害種別 視覚障害教育 
単元・活用場面 理療 
ねらい ・複雑な肝臓内の微細構造を、触察可能な模型の観察を通じて理解できる。
・体験的な活動を通じて、学習内容への興味・関心を高めるとともに、複雑な肝臓内の胆汁及び血液の流れの知識を印象づける。
・模型指導を通じた授業者と生徒の対話により、コミュニケーション能力の育成をはかるとともに、生徒の理解のつまづきを発見する。
障害特性に対する配慮点  視覚に障害があると写真や細かい図は理解に時間がかかる場合が多い。そこで触覚でも容易に理解できるように、肝臓を構成する直径1mmの肝小葉を直径比で750倍に拡大した模型を作成した。また、中途視覚障害者や外国人等、触察に不慣れな生徒であっても、ステップ・バイ・ステップで学習できるよう、指導の流れに合わせた3種類の模型を用意した。
 小葉間動脈、小葉間静脈、小葉間胆管は、弱視生徒に対しては配色に、点字使用生徒に対しては触感に配慮して、針金と蛍光色のモールを用い、胆汁の導管であるか血管であるかを容易に区別できるようにした。また、6箇所のうちの1箇所だけは2本のモールを取りはずせるようにしてあり、体験的な活動を通じて、生徒が保有視覚と触覚を用いて自分のペースで血液の流れを確認できるように配慮した。
期待される効果及び成果  教科書の文面でも図でも理解が困難な肝小葉の構成要素の名称、形状、位置関係を、拡大かつデフォルメした模型の観察を通じて明確に理解することができる。
 胆汁や血液の流れる管の名称は部位によって異なり、説明を聞くだけでは記憶に残りにくい。しかし、触察や能動的な活動を通じて体験的に理解することにより、強く印象に残すことができる。
 模型の観察指導の際の授業者と生徒との対話を通じてコミュニケーション能力の育成をはかれるとともに、生徒の理解のつまずきの原因を発見することができる。
使い方  本教材は、肝臓の微細構造である肝小葉を、直径比で750倍に拡大し、形状をデフォルメした粘土製の教材である。触察に不慣れな中途視覚障害者や外国人留学生でも容易に構造を理解できるよう、模型は指導の流れに合わせて3種類用意した。
 まず1つ目の模型を生徒に手渡し、形状を自分の言葉で表現させる。その上で、肝小葉は全体が六角柱であること、中心部にある竹輪のような円筒形の管が中心静脈であること、上面に放射状の溝があることを説明し、生徒自身に確認させる。
 次に2つ目の模型を手渡し、先ほどの模型と基本的には同じ形状であるが、上面の放射状の溝にストローがはまっていることを確認させる。そして、ストローが洞様毛細血管で、ストローとストローとの間の高まりが肝細胞が連なった肝細胞索であることを説明する。
 3つ目の模型を手渡し、六角柱の側面の各面の辺に3本ずつ縦に管が走っていることを確認させる。このうちの1本の針金は小葉間胆管であり、2本のモールは、小葉間動脈と小葉間静脈であることを説明する。
 肝臓内の胆汁の流れとして、上面の肝細胞索から始まっている針金をたどらせながら、肝細胞で生成された胆汁が毛細胆管を通って肝小葉の外に出て、それが小葉間胆管によって肝臓外へと運ばれていくことを説明する。
 次に、動脈血の流れる固有肝動脈は肝臓内に入って小葉間動脈となり、静脈血の流れる門脈は小葉間静脈となって、各肝小葉の外を流れていることを説明し、模型側面の2本のモールを下から上へとたどらせる。そして肝小葉内に入る時に2本のモールが1本のストローの中に入っていっていることを確認させる。その上で、小葉間動脈と小葉間静脈が合流して1本の洞様毛細血管になることを説明する。
 3つ目の模型は、1箇所だけ2本のモールを取り外せるようになっているため、生徒自身に2本のモールを同時にストローの模型の外側から内側に向かって挿入させ、小葉間動脈と小葉間静脈が洞様毛細血管で合流すること、洞様毛細血管を流れた血液は、肝小葉の中心部にある中心静脈に流れ込むことを、体験的に理解させる。
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書籍ページ番号
  • 情報提供者 工藤 滋(附属視覚特別支援学校)
  • キーワード 肝臓、肝小葉、体験的学習
  • 作成日時 2019-12-25 23:51:12
  • 更新日時 2023-11-08 11:05:22