教材名

胸椎肋骨窩拡大模型  自作
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  • 緑の椎骨

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    緑の椎骨(分離)

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対象 視覚障害を有する高等部本科保健理療科、専攻科保健理療科、専攻科理療科生徒
障害種別 視覚障害教育 
単元・活用場面 理療 
ねらい ・能動的な模型観察を通じて、各胸椎の肋骨窩の数と形状を理解できる。
・胸椎によって肋骨窩の数と形状が異なる理由について、自ら考え表現することができる。
・各胸椎の有する関節面の数という難易度の高い問題に正解できるようになり、学習意欲が高まる。
障害特性に対する配慮点  市販の胸椎模型は、4種7個の突起が出ていて複雑な形状をしているため、椎体側面にある浅くて小さな肋骨窩を、視覚に障害のある生徒が目を近づけて見たり、指で触れたりして観察することは難しい。そこでできる限り胸椎の形状をデフォルメし、肋骨窩を大きく深くし、さらに肋骨窩を他の部位と容易に区別できるようなコントラストの強い配色にした。
 肋骨窩が2つの胸椎にまたがっている部は、胸椎を重ねた状態で観察すると円形にしか見えないが、実際には上位の胸椎の肋骨窩は上半分の半円形、下位の胸椎の肋骨窩は下半分の半円形である。そこで各胸椎が有する肋骨窩の数と形状を、保有視覚と触覚で確実に確認できるように、1つ1つの胸椎を個別に観察する時間を確保した。
期待される効果及び成果  肋骨窩を保有視覚及び触覚で観察しやすいように配慮して作成した胸椎模型を活用することにより、能動的な活動を通じて、各胸椎ごとの肋骨窩の数と形状を理解できる。
 胸椎によって肋骨窩の数と形状が異なる理由について、肋骨の付着部の位置から、生徒自身が考え表現することができる。
 肋骨窩の数を確実に理解することにより、各胸椎の有する関節面の数という難易度の高い問題に正解できるようになり、学習意欲が高まる。
使い方  本教材は、各胸椎によって異なる肋骨窩の数と形状の理解に特化して作成した粘土製の模型である。12個ある胸椎のうち、第2胸椎から第9胸椎までと、第11胸椎・第12胸椎はそれぞれ形状が同じであるため、第1胸椎、第2胸椎、第10胸椎、第11胸椎の4種類とした。本来胸椎は非常に複雑な形状をしているが、肋骨窩の学習に特化する目的で、形状は単なる円柱形とし、向きを知るために棘突起の代わりに後面中央に鍼を付けた。肋骨窩は極めて小さく浅いくぼみで、視覚障害のある生徒には観察しにくいため、触覚で容易に確認できるように、大きく深いくぼみとした。また、弱視生徒が保有視覚で観察しやすいように、胸椎全体は緑色に着色し、肋骨窩は白いまま残して、コントラストの強い配色とした。
 まず、第1胸椎を生徒に手渡し、椎体と棘突起のみの模型であることと、向きをを説明する。その後、生徒に能動的に観察させる。
 次に第2胸椎を第1胸椎の下に重ねるようにして授業者が保持し、第1肋骨は第1胸椎の側面に、第2肋骨は第1胸椎と第2胸椎の境目の側面に付着すること、胸椎全体は緑色で、肋骨の付着部である肋骨窩は白い丸いくぼみで表していることを口頭で説明し、生徒に模型を観察させる。
 その後、再び第1胸椎のみを生徒に手渡して、椎体側面中央に円形の肋骨窩が、側面下部に上半分の半円形の肋骨窩があること、したがって第1胸椎が有する肋骨窩は4つであることを確認させる。
 次に第2肋骨から第9肋骨までは、すべて2つの胸椎にまたがるような位置に付着しており、第2肋骨は第1胸椎と第2胸椎の間、第3肋骨は第2胸椎と第3胸椎の間、第10肋骨は第9胸椎と第10胸椎の間に付着していることを説明する。その上で、第2胸椎の模型だけを手渡して、椎体側面上部に下半分の半円形の肋骨窩が、側面下部に上半分の半円形の肋骨窩があることを確認させる。そして第2胸椎から第9胸椎まではすべて同じ形状であり、したがってこれらの椎骨が有する肋骨窩はすべて4つであることを理解させる。
 第10肋骨は第9胸椎と第10胸椎の境目に、第11肋骨と第12肋骨はそれぞれ第11胸椎と第12胸椎の椎体側面中央に付着していることを説明する。その後、第9胸椎、第10胸椎、第11胸椎を3つ重ねた状態で授業者が保持し、第10肋骨と第11肋骨のはまる肋骨窩の位置を確認させる。その上で、第10胸椎と第11胸椎の肋骨窩の数と形状を発問する。解答の正誤に関わらず、まず第10胸椎だけを、その後第11胸椎だけを手渡して、第10胸椎は椎体側面上部に下半分の半円形の肋骨窩が、第11胸椎は側面中央に円形の肋骨窩があるだけであることを説明する。さらに第12胸椎は第11胸椎と同じ形状であるため、第10胸椎から第12胸椎まではすべて肋骨窩は2つであることを説明する。
 最後に、各胸椎が有する関節面の数を問う問題が出題された際、いずれの胸椎も上関節突起、下関節突起、横突肋骨窩を2つずつ有しているため、肋骨窩の数を加えた関節面の合計数は、第1胸椎から第9胸椎までは10個、第10胸椎から第12胸椎までは8個であることを説明する。
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書籍ページ番号
  • 情報提供者 工藤 滋(附属視覚特別支援学校)
  • キーワード 脊柱、胸椎、体験的学習
  • 作成日時 2019-12-25 23:54:25
  • 更新日時 2023-11-08 11:09:06