教材名

大腸腹膜模型  自作
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  • 腹膜(布なし)

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    腹膜(布かけ)

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対象 視覚障害を有する高等部本科保健理療科、専攻科保健理療科、専攻科理療科生徒
障害種別 視覚障害教育 
単元・活用場面 理療 
ねらい ・教材の触察を通じて、大腸各部位の位置及び腹膜との関係を理解できる。
・腹膜の概念の理解を通じて、大腸以外の器官と腹膜との関係に応用する力を培うことができる。
・解剖学に対する興味・関心が高まり、学習意欲が向上する。
障害特性に対する配慮点  腹膜は、非常に複雑な形状をしているにも関わらず、市販の模型がないことから、視覚に障害のある生徒には腹膜というもの自体の理解、及び具体的な各器官と腹膜の関係の理解が困難である。そこで視覚障害者が容易に確認できる教材を作成した。
 本来大腸はいくつかの外形的な特徴を有しているが、腹膜の理解に特化する目的で、大腸模型の形状は単なる円筒形のチューブのままとし、生徒の意識がチューブと布の位置関係に集中できるようにした。
 腹膜後器官は後腹壁に見立てた厚みのあるスポンジを削ってそこに埋まるようにし、腹腔内器官は極端に浮き上がらせて、器官と後腹壁との立体的な位置関係を保有視覚と触覚による観察で強く印象づけられるように配慮した。
 壁側腹膜、臓側腹膜、間膜の概念の理解を促す指導は、大腸模型に掛けた布の該当部位に実際に触れさせて、それぞれの用語が示す部位を体験的に理解できるようにした。また、3つの用語が指す部位を連続的に触れさせて、「腹膜はすべて一続きの膜であり、それが部位によって壁側腹膜、臓側腹膜、間膜に区別されている」という腹膜そのものの概念を正しく理解できるよう配慮した。
 各器官と腹膜との関係を性格に理解できるよう、生徒の能動的な触察を促し、また発問により随時理解度を確認する指導を行う展開とした。
期待される効果及び成果  教材の触察を通じて、大腸各部位の位置及び腹膜との関係を理解できる。
 大腸に関係する腹膜の学習を通じて、壁側腹膜、臓側腹膜、間膜の理解を深め、大腸以外の器官と腹膜との関係についても、自ら考える力を培うことができる。
 各器官と腹膜との関係という難易度の高い学習内容を理解することにより、解剖学への興味・関心が高まり、学習意欲が向上する。
使い方  本教材は、60cm×60cm×5cmのスポンジに、直径2cmのチューブをはめ込んだ大腸模型と、腹膜に見立てた大きな布からなる教材である。大腸のうち、腹膜後器官はスポンジを削ってチューブを埋め、器官が背中に埋まっている状態を表現し、腹腔内器官はチューブがスポンジから浮き上がった状態で固定して、器官が背中から離れていることを理解できるようにした。
 大腸模型は、足側を手前に下背臥位の姿勢になるように机上に設置する。
 授業者は生徒に、「これからみなさんの方に足を向けて背臥位になっている方の大腸の様子を模型で観察します」と説明した上で、上行結腸下端部に生徒の手を誘導する。そして「これから食塊が移動する順に大腸と後腹壁との関係を観察していきます」と説明した上で、口頭で上方、右方、下方、左斜め下方、下方の順に生徒の手を誘導する。その際、随時大腸の各部位が後腹壁に埋まっているのか、後腹壁から浮き上がっているのかを発問し、生徒自身に確認させる。
 次に腹膜について説明する旨を伝え、大きな布を、大腸模型全体が覆われるようにかける。その上で、スポンジに直接触れている布の部分に生徒の手を誘導して「ここが壁側腹膜」、チューブに直接触れている布の部分を示して「ここが臓側腹膜」、浮き上がっている横行結腸やS状結腸とスポンジの間の布に触れさせて「ここが間膜」と説明する。さらに、壁側腹膜、間膜、臓側腹膜を連続的に触れさせて、これらが一続きの漿膜でできていることも理解させる。
 最後に、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸の各部位が間膜を持つか持たないかについて発問する。誤った解答をした場合には、実際に模型に触れさせて正しい答えを印象づける。
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書籍ページ番号
  • 情報提供者 工藤 滋(附属視覚特別支援学校)
  • キーワード 腹膜、触察、体験的学習
  • 作成日時 2019-12-25 23:57:31
  • 更新日時 2023-11-08 11:09:21