教材名
対象 | 視覚障害を有する高等部本科保健理療科、専攻科保健理療科、専攻科理療科生徒 |
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障害種別 | 視覚障害教育 |
単元・活用場面 | 理療 |
ねらい |
・基礎・基本となる位置を表す用語を、用語の構造の理解を通じて習得できる。 ・生徒自身が誤答パターンについて考えることができる。 ・自学自習により、用語の理解度の変化を実感できるため、学習意欲が向上する。 |
障害特性に対する配慮点 |
視覚に障害があると、写真や動画等で示された部位を把握することが困難である。そのため視覚特別支援学校理療科の授業では、立体模型や患者の身体の特定部位を示す際などに、「上面前内側部」等、上下・前後・内外側といった位置を表す用語を組み合わせて活用している。しかし、これらの用語はその構造を理解できていないと、正しい位置を特定することが難しい。そこで言葉による説明の際に必須となる位置を表す用語を学習するための教材を開発した。 立方体の各面は、、溝付き鉄板を用い、触覚で容易に各マスを区別できるように配慮した。また、課題として提示するマスの位置は、保有視覚及び触覚で確実に把握でき、一度目や手を離しても再度同じマスを容易に探せるよう、磁石で示した。 自学自習の際には生徒自身で答え合わせができる必要があるが、拡大文字や点字を貼り付けた立方体と照合しようとすると、課題として提示されたマスと同じマスを探してその文字を読まなければならない。これには多くの時間を要する。また、弱視生徒の場合、目を近づけて読む必要があるため、部位によっては立方体を持ち上げたり回転させなければならず、そうした操作の最中に正解の位置がずれてしまう恐れがある。点字使用生徒の場合、マスによって読む向きが変わるため、点字による正解の表示は確認しにくい。そこで、各マスに対応した位置を表す用語を、ペンを近づけるだけで瞬時に音声フィードバックするi-タッチトークの機能を活用した。 |
期待される効果及び成果 |
視覚障害者が理療を学習する上で欠くことのできない基礎・基本となる位置を表す用語を、用語の構造の理解を通じて習得できる。 位置を表す用語の自学自習を通じて、生徒自身が理解度を把握し、また誤答パターンについて考えることができる。 音声フィードバック機能を活用した自学自習により、学習への興味・関心が高まるとともに、用語の理解度の変化を実感できるため、学習意欲が向上する。 視覚障害者が理療を学習する上で欠くことのできない基礎・基本となる位置を表す用語を、用語の構造の理解を通じて習得できる。 位置を表す用語の自学自習を通じて、生徒自身が理解度を把握し、また誤答パターンについて考えることができる。 音声フィードバック機能を活用した自学自習により、学習への興味・関心が高まるとともに、用語の理解度の変化を実感できるため、学習意欲が向上する。 |
使い方 |
本教材は、各面が縦3×横3に9分割されている溝付き鉄板製立方体の各マスに、i-タッチ トーク用シールを貼り付けた教材である。シールには、それぞれの部位に対応した解剖学用語としての位置を表す用語の音声情報が登録されている。この教材を2個用意し、左右の体肢に見立てて机に向かって座っている生徒と同じ向きに配置する。電源を入れたi-タッチ トークをいずれかのシールに近づけると、そのマスに対応した位置を表す用語が自動的に音声発生される。 まず、生徒の両手をとって左右の教材に同時に触れさせながら、口頭で上面、前面、後面、外側面、内側面の順に各面の名称を伝え、最後に机に触れている面が下面であることを説明する。 次に上面の中で最も前面に近い奥の3つのマスは、内側の角から外側の角に向かって、上面前内側部、上面前部中央、上面前外側部であること、最も後面に近い手前の3つのマスは、内側から外側に向かって、上面後内側部、上面後部中央、上面後外側部であること、中央の3つのマスは、内側から外側に向かって、上面内側中央、上面中央部、上面外側中央であることを説明する。後面の場合には、最も上面に近いいちばん上の3つのマスは、内側から外側に向かって、後面上内側部、後面上部中央、後面上外側部であること、最も下面に近いいちばん下の3つのマスは、内側から外側に向かって、後面下内側部、後面下部中央、後面下外側部であること、中央の3つのマスは、内側から外側に向かって、後面内側中央、後面中央部、後面外側中央であることを説明する。外側面の場合には、最も上面に近いいちばん上の3つのマスは、前方から後方に向かって、外側面前上部、外側面上部中央、外側面後上部であること、最も下面に近いいちばん下の3つのマスは、前方から後方に向かって、外側面前下部、外側面下部中央、外側面後下部であること、中央の3つのマスは、前方から後方に向かって、外側面前部中央、外側面中央部、外側面後部中央であることを説明する。 各マスの位置を表す用語の説明が終わったところで、授業者は実際に説明したマスのうちの1つに磁石を貼り付け、その位置の名称を口頭で言った後、電源を入れたi-タッチトークを近づけて音声発生させ、授業者の解答が正解であったことを確認する。 i-タッチトークを生徒に手渡し、実際に授業者が説明したマスの中から好きなマスを選んで磁石を貼り付け、その位置の名称を声に出して言った後、i-タッチトークを近づけて答え合わせをするよう指示する。不正解だった場合には、誤りが面の名称なのか面内の位置なのかを伝え、再度用語の構造の説明をする。正解だった場合には、実際には説明していない前面、内側面、下面の中からマスを選んで同様に自分で自分に問題を出し、i-タッチトークで答え合わせをするよう指示する。この方法で10分程度自学自習するよう促す。 その後、今度は授業者が任意のマスを指定して生徒にその位置を口頭で解答させ、i-タッチトークで答え合わせをするよう指示する。全問正解した場合には、位置を表す用語を理解できたと評価する。全問正解できなかった生徒には、毎日10分程度の自学自習をするよう指示し、1週間後に再度授業者が任意のマスを指定して生徒にその位置を口頭で解答させる演習を行う。 |
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