教材名
対象 | 中学部生徒、高等部生徒 |
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障害種別 | 視覚障害教育 |
単元・活用場面 | 理科 |
ねらい | ・温められた空気が上昇することを、実験教材の触察(触覚による観察)を通して理解する。 |
障害特性に対する配慮点 |
中学校理科「気象とその変化」では、雲の発生や前線の構造について学習する。雲の発生には空気塊の上昇が関係しているが、どのようなときに空気塊が上昇するのか、また、前線の構造を理解する基礎段階として、暖気や寒気の性質がどのようなものであるか、体験を通して理解することは重要である。そこで、「温められた空気が上昇することを確かめる実験教材(熱気球)」を用いた体験的な学習を通してねらいが達成できるように工夫した。 実験教材は、触察により理解できる大きさとし、両手で操作することによってその仕組みが分かるようにした。 なお、本教材は、筆者がスタッフとして参加した旧 宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構)の社会教育活動(宇宙教育プログラム)の教材を視覚障害理科教育向けにアレンジしたものである。 |
期待される効果及び成果 | 体験的な学習を通して、温められた空気が軽くなり上昇することについて具体的なイメージをもつことができる。 |
使い方 |
① 支柱のみのスタンド4台を机上にセットする。このとき4本の支柱の先端が、天井から見下ろしたときに一辺が30cm程度の正方形の頂点になるように置くとよい。 ② ごみ袋を上下逆さにして支柱の下部までかぶせる。このとき支柱と支柱の間隔が広すぎると、袋がピンと張った状態になってしまう。その場合は、間隔を狭めて袋に余裕をもたせるとよい。逆に、支柱と支柱の間隔が狭すぎて袋がたるみすぎているときには、間隔を広げるようにする。(後の操作で、たるんだ袋にアルコールランプの火が燃え移らないようにするため。) ③ ごみ袋の外側から袋の表面を軽く押すようにして触ってみる。押したときに袋が凹むことや、押し返される抵抗感がないことを確かめる。 ④ 片手の手のひらでごみ袋の下部を、もう一方の手のひらでごみ袋の上部を同時に触り、温度差がないことを確かめる。 ⑤ ごみ袋の底の角の部分を観察する。角の部分は、この状態ではまだ「ピンと立って」おらず、「垂れている」ことを触って確かめる。 ⑥ 支柱にかぶせたごみ袋30cm程度持ち上げて、袋の真下にアルコールランプを置く。 ⑦ 授業者がアルコールランプに火を点ける。 ⑧ ⑥で持ち上げたごみ袋を、再度支柱の下部までかぶせる。 ⑨ ③のように、ごみ袋の外側から袋の表面を軽く押すようにして触ってみる。③と違い、ごみ袋は凹まずに、押し返される抵抗感があることを実感する。また、その理由を考察する。 ⑩ ④のように、片手の手のひらでごみ袋の下部を、もう片方の手のひらでごみ袋の上部を同時に触り、下部よりも上部の方が温かいことを実感する。また、上部の方が温かい理由を考察する。 ⑪ ⑤のように、ごみ袋の底の角の部分を観察し、「耳」の部分が「ピンと立っていること」を確かめる。また、その理由を考察する。 ⑫ ⑪まで確かめ終わったら、片手の甲でそっとごみ袋の表面に触れたまま、しばらく待つ。すると、徐々に袋が上昇していく袋が上昇していくことが分かる。その後、天井にぶつかってごみ袋が「くしゃっ」と音がする様子、生徒の頭に袋が落ちてくる様子、落ちてきたごみ袋はつぶれていることやわずかに温かさが残っている様子を確かめる。最後に、ごみ袋が落ちてきた理由を考察する。なお、授業者は、アルコールランプにごみ袋が落ちてこないように十分に注意を払い、アルコールランプの火を消す。 ⑬ 実験後に、実験の方法や結果、考察をノートにまとめる。 |
関連する教材や情報 |
スタンド(支柱のみ、4台)、アルコールランプ(冬など室温が低い場合には2個使用するとよい。)、マッチ、燃え殻入れ、濡れ雑巾は、理科室にある一般的なものを使用する。ごみ袋はスーパーマーケット等の量販店で購入することができる。できるだけ薄手のもの(厚さ0.015mmや0.012mmなど)を使用する。 なお、養生シート(厚さ0.015mmや0.012mmなど)を用いて、巨大熱気球をつくることもできる。シートを180cm×360cm程度の袋状にして、ドライヤーで温風を送ると体育館の天井まで上がる巨大熱気球となる。シートの圧着には、クリップシーラーを用いるとよい。養生シートは、ホームセンター等で購入することができる。 一方、冷やされた空気が下降することを確かめるためには、冷蔵庫の扉の前に立って、扉の上側と下側に片手ずつ手のひらをかざし、扉を開けるとどちらの手のひらに冷気が来るか、確かめることができる。また、三脚の上に載せた保冷材の上側と下側に片手ずつ手のひらをかざすことで、確かめることもできる。 日本視覚障害理科教育研究会 https://www.jaseb.net/ 柴田直人, 温められた空気の上昇や冷やされた空気の下降を実感する実験について, 日本視覚障害理科教育研究会会報(JASEB NEWS LETTER), No. 38, 2019, pp. 31-36. |
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