教材名
対象 |
●小学部児童、中学部生徒、高等部生徒 ●空間にある風船の位置に気付くことが難しい児童生徒 ●空間を動く風船をタイミングよく打つことが難しい児童生徒 |
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障害種別 | 肢体不自由教育 重複障害教育 |
単元・活用場面 | 体育,保健体育 特別活動 自立活動 遊びの指導 |
ねらい |
本教材は、重度の肢体不自と知的障害を併せ有し、発達の初期段階にある児童生徒へ活用した。 ●友達と風船を打ち合う中で、風船が遠くに行ったり近くに来たりする楽しさや心地よさを、発声や身振りで表現する。 |
障害特性に対する配慮点 |
●球状に膨らむアルミ風船を2つ用意し、ハリス用ナイロン釣糸(100円ショップで売られているもの)で連結した。風船の片方は空気で、もう片方はヘリウムガスで膨らませた。ヘリウムガスを入れた風船が天井に着き、空気を入れた風船がぶら下がるようになる。空気入りの風船が児童生徒の打ちやすい高さになるように、糸の長さを調整した。 ●空間に風船がぶら下がり止まっているため、その位置を把握しやすくなる。さらにアルミ風船の光沢により、視覚での把握につながりやすい。 ●アルミ風船には空気をできるだけ入れ、張るようにすることで、風船に手や頭等で働きかけたときに得られる触覚フィードバックが明確になる。同時に「ポン」と音が響くので、聴覚からのフィードバックも得られやすい。 ●これら得られるフィードバックの心地よさを設定することが、児童生徒が自ら風船に働きかけようとするために大切となる。 |
期待される効果及び成果 |
●空気入り風船に働きかけると、糸につながった先にあるヘリウム入り風船に力が加わり、その方向へ天井を伝うように移動していく。空間内で風船を自由に動かせるため、友達とのラリーが可能である。 ●風船が空間で止まっているため、位置の把握や上肢操作に時間が必要だとしても、自分のタイミングで働きかけることができる。また、風船が軽いため、本人の少しの力で風船を動かすことができる。これにより、風船に働きかけると自分から離れていくという因果関係理解につながる。同時にボール運動遊びの基礎学習となる。 |
使い方 |
●まずは1人で打つ練習を行う。自ら風船に働きかけた結果、風船が自分から離れていくことを触覚、聴覚、視覚のフィードバックから実感できるようにしていく。車いすを自走できる児童生徒は、離れた風船に対して自分で近づき、再度風船に働きかけていくようにする。自走が難しい児童生徒は、教員が移動を支援する。 ●次は、友達同士で円形や対面になって打ち合う。児童生徒の動きが出やすい側の手に配慮し、ポジションを調整する。 ●最後は、円形になった中央に的を用意し、当てて倒すといった終点がわかりやすい活動を行うことも考えられる。 ●競争のルールがわかる実態の児童生徒であれば、風船バレーのように勝敗を競うゲームを実施してもよい。エリアを設け、3回以内に相手エリアへ返球するというルールが考えられる。 |
関連する教材や情報 |
●ラテックスアレルギーを有する児童生徒に対して、ゴム風船とは異なり、アルミ風船は安全に使用できる。 ●ゴム風船に比べてアルミ風船は、ヘリウムガスが抜けにくいため、一度作成した後、繰り返しの使用が可能である。 ●ゴム風船は劣化により割れてしまうが、アルミ風船は単元終了後、空気を抜き保存しておくことで、次年度も再利用が可能である。 ●アルミ風船購入先(本教材では、4/B 14インチ ブルーを使用) ナランハバルーンカンパニーオンラインショップ https://www.naranja.co.jp/balloon/web-categories/379 |
こんな児童生徒にも役に立つ教材です | ●体育におけるボール運動の基礎的な練習としても位置づけられるので、様々な対象に活用できる。 |
書籍ページ番号 |