教材名
対象 |
・聴覚障害を有する中学生・高校生・大学生・社会人 ・一般の(障害のない)中学生・高校生・大学生・社会人 ・聴覚障害教育に携わる教員 ・聴覚障害児童・生徒・学生を受け入れている教育機関の教職員 ・聴覚障害を有する社員を雇用している企業の社員 |
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障害種別 | 聴覚障害教育 |
単元・活用場面 | 自立活動 その他 |
ねらい |
実施対象者:聴覚障害生徒・学生の場合 ・自身の聴覚障害に対する認識を深め、聴者と共に学んだり、活動したり、働いたりする際に必要な支援を、主体的に求めていくことのできる人間に育てる。 実施対象者:聴者 ・聴覚障害に起因する社会的バリアに対する理解を深め、場に応じた必要かつ適切な支援のあり方を模索するヒントを得る。 |
障害特性に対する配慮点 | 聴覚障害当事者に難聴擬似体験を実施する際には、聞こえないことによって生じるできないことばかりを強調すると自己肯定感が低くなってしまう。それを避けるためにも、「どのような配慮があれば社会的バリアが軽減されるのか」、「聴覚障害をどのように説明すればわかってもらえるのか」を考えさせるように進め方を工夫する。 |
期待される効果及び成果 |
目で見ただけではわかりにくいところが多い聴覚障害が感じる社会的バリアについて、理解を深める一助になっている。 具体的には以下に記す通りである。 【読話の体験】 ・口形のみから話を読み取ることが困難であることを理解する。 ・聴覚障害者が、「話し手の表情」「自分の知識」「話される内容の背景となる(前提となる)情報」「文脈」「想像力」等を活用しながら読話していることを理解する。 ・読話をしながらコミュニケーションをする際には、並々ならぬ集中 力やエネルギーが必要であることを感じ取る。 【教師の指示を聞き様々な行動をする体験】 聴覚障害者役になった場合、聴覚障害当事者について、以下のような気づきが得られる。 ・聞こえにくいことで、自分の置かれている状況がどういう状況なの かわからなくて困る。 ・その場で話題になっていることやどう行動すべきなのか等の情報 が得られずに、一人だけ取り残された気持ちになる。 ・周りの状況から判断したり、キーワードを読み取ろうとしたりする が、本当に正しいのだろうかという不安は尽きない。 ・周りの人に聞きたくても、実際はなかなか聞くことができない。 聴者を対象にこの擬似体験を行った場合は、聴覚障害者の感じる困難さ、社会的バリアを実感し、支援の方法を具体的に考えるヒントになる。聴覚障害当事者を対象に行った場合は、自身の有する聴覚障害に起因する社会的バリアを体験し、障害の認識が深まる。そして、場面に応じて必要な支援を主体的に求める必要性を実感させることになる。 |
使い方 |
①使用機器:ヘッドフォン、小型音楽プレーヤー(ウエイトノイズを録音したもの)。 ②学生7~8人に1人の割合で機器を装着し、「聴覚障害者役」となる ③聴覚障害者役は、ヘッドフォンをつけて小型音楽プレーヤーから流れ る雑音が常時耳に入ることになり、様々な音や話し言葉が「聞こえない」状況になる。安全のためにヘッドフォンの下に耳栓も装着してもらう。 ④聴覚障害者役は課題毎に交替し、参加者全員が聴覚障害者の立場を体 験するようにする。 ⑤スライドにしたがって課題を進め、一つ一つ課題が終了した後、聴覚障害者役の学生に感想を話してもらう。そして、「聞こえない」ことによってどのようなことが困るか、心理的な影響はどのようなものかなどを参加者全員で共有する。 ⑥読話の体験を行う際には機器は使用しない。 ⑦聴覚障害生徒を対象に実施する際には、聴者役の生徒に予め課題の内容を伝えておくことで擬似的な聴者集団をつくっておく。 |
関連する教材や情報 |
参考文献(難聴擬似体験のやり方を記載しています) ・鈴木牧子,秋島康範,鈴木初美,高田史子,伊東靖雄 聴覚障害理解推進のために~卒後支援として実施している「難聴擬似体験」について~(2013) 聴覚障害,2013 Vol.68 11月号 ・鈴木牧子(2014)聴覚障害生徒を対象とした『難聴擬似体験プログラム』の実践 ~生徒の障害認識にかかわって~ 筑波大学特別支援教育研究 第8巻 実践と研究(ネット検索可能) |
こんな児童生徒にも役に立つ教材です | 聴覚的認知の面で困難さを感じている児童生徒の障害理解を深める際にも活用できるのではないかと思います。 |
書籍ページ番号 |