教材名

何の音?雨の音?波の音!  自作
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  • 完成した作品

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    筒の中に入れる材料

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    うわじき鋲

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    鋲を打った筒の中の状態

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  • 何の音?雨の音?波の音!

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対象 小学部3年
障害種別 視覚障害教育 知的障害教育 重複障害教育 発達障害 
単元・活用場面 図画工作,美術 自立活動 
ねらい ・触覚・聴覚を活用しながら木づちで釘を打つ活動に取り組み、感覚や手応えをつかんだり、技能の習得を目指したりする。
・筒に入れる素材や量の違いで音が変化することを感じたり、筒に打ち込んだ釘の数が増すとより美しい音色がうまれることに気付いたりしながら、造形活動を深めていく。
障害特性に対する配慮点 ■上敷き鋲の活用
釘打ちがしやすいよう通常の釘ではなく上敷き鋲を使用する。上敷き鋲の頭は直径1㎝程のプラスチック製で同サイズの釘に比べて触覚的に認知しやすく木づちで叩いた際に当たりやすいため、視覚障害児童に扱いやすい。
■用具・材料の収納
使用中の用具や釘の収納にトレーや皿を活用し、作業中は用具を所定の場所に戻したり、保管したりして効率的に作業が進められるようにする。
■固定用具の活用
筒を万力に固定し、両手指が自由に使える環境を保障する。これにより、児童が一人で触覚を活用して安全且つスムースに釘打ち作業に取り組むことができる。
■触覚的な理解を促す教材の提示
筒の断面教材(筒の中で釘が密集している様子が分かるもの)を児童分作成し、指導の中で活用する。この教材を提供することによって、筒の中の粒状の素材が、打ち込まれた釘に当たって心地よい音を発する原理の理解を促すことができる。
期待される効果及び成果 ・障害特性に応じた工夫や配慮を施すことにより、全工程を一人で安全に取り組むことができる。
・釘打ちの成果が音で確認できるため、子どもたちは自分のイメージする波の音に近づけるよう集中して釘打ち作業に取り組み、結果として技能を向上させていく。
・作品鑑賞をとおして共に学ぶ仲間の音や筒に打ち込んだ上敷き鋲の数に刺激を受け、他者のよさや価値を見出し、多様性を認める心が育まれる。
【教材の意義】
通常の小学3年が取り組む『トントンどんどん釘うって』は、はじめての木工作の活動として、木に金づちで釘を打ち、釘の数や並べ方を工夫したり、形のおもしろさを感じ取ったりする立体・鑑賞の学習である。しかし、本題材を視覚に障害のある児童を対象に扱った場合、教科書に掲載されている参考作品が触覚で鑑賞しづらい、制作意図が理解しにくい、触察の際に釘が危険でつくる・味わう意欲が損なわれてしまう等、いくつかの課題が生じる。そこで、視覚障害の特性に配慮した題材・指導方法・用具や素材の選定といった観点から盲学校オリジナルの造形活動『何の音?雨の音?波の音!』を設定し、本来教科書で学ぶべき学習目標の到達をめざした教育を進めていく。
使い方 【教材の特徴】
この題材は、長さ1mほどの厚手の紙筒に木づちで釘を打ち込み、筒の中に米・小豆・大豆等を入れ、筒を傾けると内側に打ち込まれた釘に粒状の素材が当たり心地よい音を発する作品である。
【指導方法】
1. 制作する作品についてのイメージづくり
参考作品の鑑賞・使用する素材や用具の確認・完成までの制作プロセスの説明等を行い、興味関心を高める。
2. 固定用具の役割・使用方法・注意点の意識化
万力の特徴・構造・使い方を分かりやすく伝える。操作とともに言語で説明を加え、児童の記憶に残りやすくする(以後、毎時間個々に固定用具の取り付け・片付けに取り組ませる)。
3. 紙筒のデコレーション
気に入った長さ・太さの紙筒を選択させ、万力に固定しながらホイル折り紙で飾り付けをしたり、絵の具で着色したりさせる。
4. 釘打ち作業
筒を万力に固定し上敷き鋲を木づちでトントン打ち込ませる。鋲は親指・人差し指・中指でしっかり固定し、筒の真上に打ち込むよう説明する。上敷き鋲の頭に真っ直ぐ木づちを当てるよう指導し、筒の中に鋲が入り始めても可能な限り鋲を握り続けると曲がらずに打てることを伝える。筒の断面教材を使って釘の効果を確かめさせ、より多くの釘打ちに取り組ませる。上敷き鋲を80~100本程度打ったら、通常の釘の打ち込みにも挑戦させる。
5. 筒の端をふさぐ丸型テーブルクロスのカッティング・接着
デザインテープで描かれた丸型の輪郭に沿ってテーブルクロスをはさみでカットさせる(2枚)。筒を立てた状態で万力に固定し、片側の端に丸型にカットしたテーブルクロスを両面テープで接着させる。
6. 筒の中に入れる素材の選定・素材入れ
参考作品の音色をもとに気に入った素材を選ばせ、ロートを使って筒の中に入れるよう促す。音を確かめながら量を調整したり素材を変更したりして心地よい音色に近づけるよう指導する。
7. テーブルクロスで筒ふさぎ
筒のもう片方の端をテーブルクロスでふさぎ、テーブルクロスの接着部分をガムテープや装飾用テープで補強させる。
関連する教材や情報 図画工作教科書3・4上 日本文教出版株式会社 令和6年1月15日発行
P22-23 トントンどんどん釘うって
こんな児童生徒にも役に立つ教材です 木工作導入段階の児童・重複学級在籍児童等
書籍ページ番号
  • 情報提供者 佐藤直子(附属視覚特別支援学校小学部 図画工作科)
  • キーワード レインスティック 触覚 聴覚 釘打ち
  • 作成日時 2024-12-24 12:14:14
  • 更新日時 2024-12-24 14:58:48